焚く
焚く―。
火を起こしたことはありますか?
人間が火を利用するようになったのは約180万年~80万年前の、原始時代からだといわれています。
「火」は動物から身を守り、暗い夜を照らし、寒い日には体を温め、食べ物を焼いて、時には湯を沸かし・・・様々な方法で、私達の暮らしに現代まで寄り添って来ました。
またゆらゆらと揺れる火を見ると何とも言えない穏やかな気持ちになりますよね。
私達人類の祖先は、雷や火山噴火から「火」を知り、利用しようと考えました。
暮らしに無くてはならない日を、自分たちの力で作りだそうと考え、乾いた木と木をこすって「火起こし」という方法を身に着けました。
そこから薪に火をつけ、炭を焼き、いろりやちょうちん、行灯などで活用してきました。
スイッチを押せば火が点くこの現代に、焚火を楽しみませんか?
着火・消火などについても学び・体験し、焚火で日ごろの疲れを癒してください。
綯う
縄を綯う[なう]-。
2つのワラの束を同時に撚り合わせて1本1本の藁を織り交ぜ綯い交ぜる。
ねじりが戻ろうとする力で2つのワラの束は絡み合い、縄になります。
できる上がるのは一本の線だが、その活用法は無限大。
稲わらに囲まれて暮らし、遊びから仕事までわら縄にお世話になった、先史時代から現代まで、受け継がれてきた伝統的な工法です。
ワラを縄に綯うと稲わらそれ自体よりも丈夫になり、長持ちもする。
縄を綯う事で、太くもでき、細くもでき、長さは無限大。
そんな縄は、括り、結わえ、束ね、吊るし、様々は方法で活用されます。
それだけでなく、縄を伸ばして、計測や線引き、耕したり苗を支えたり、目印にしたり。
俵やむしろあどのワラ工品の材料として、農産物の流通に必要不可欠なものでした。
現在ではほとんど化学繊維をよじって作られた、縄跳びや荷造りひもなどしか使われておらず、しめ縄でしか縄に触れる機会がありません。
化学繊維の紐が無い時代、都市、農山漁村を問わず親しまれてきた縄を見たことが無い人たちに。縄を綯う音を、聞いたことのない人たちに。
縄文時代から伝わる、伝統を大切にしてきた私達に欠かせなかった縄の存在を
縄綯いを通して学び、感じてください。
狩る
狩る―。
古代日本では、食用の家畜を育てるという風習はなく、ジビエ肉を狩り、食べるという狩猟文化がありました。
狩猟の歴史は古く、農耕や牧畜が普及しない時代から行われています。
野生動物を捕獲して食料や衣服などに利用することは、我々の遠い祖先がまさに狩猟採集の時代から行ってきた重要な生きるための手段です。
スーパーなどに行けば、綺麗に加工された肉も魚も買えます。動物たちの“いのち”を奪って私たちは食べ、生きています。
あなたは、お肉になる家畜が、どこで生まれ、どのように育てられて、どうやってパックに詰められ、お店に並べられるのか、想像したことがありますか?
ただ何となくお肉を食べてはいませんか?
一度立ち留まり、「動物たちの命をいただくこと」に感謝の気持ちを持ち、私達の一部になってくれるこの「いのち」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
樵る
樵る―。[きこる]
木を切り倒す樵。現代では、チェーンソーを使い木を伐りますが、昔ながらの斧や鋸を使い樵ります。
木を切るということは環境保全としてだけではなく、健全な森林を育て、人々の生活や暮らしを支えるという様々な役割を担っています。
人間は鉄を入手・加工できるようになるまでは、家を建てたり、家畜を囲う柵をつくったり、車輪をつくったり、船をつくったり、あらゆるものを木材でつくってきました。
現在では鉄やプラスチック、化学製品などで作られているものも、元は木材でつくられていました。
その文明的な生活を送るために必須であったため、樵は森へ入る最も原始的な職業でした。
森の中で、普段の暮らしではほとんど体験することのできない、森林浴や樵を体験してみませんか?
森のこと、木こりのこと、木材の話を聞きながら樵ることで見る、聞く、触れる、嗅ぐ、味わう等、五感で自然を感じることができます。
森と木材の気持ち良さを感じるだけなく、大木が伐採され地面に倒れ込んだ時の「地響き」は、数十年の樹齢を全うした樹木の「命」の尊さを感じずにはいられないでしょう。